嵐山を逍遥す。

新緑の嵐山、愛宕山に九輪草を見に行こう友人と出掛けたが 余りにも急峻な登り坂にすっかり閉口、スキーで鍛えたはず の健脚も見る影ない。 翌日になっても増々強くなる筋肉痛に悩まされる日々である。 愛宕山といえば京都の最も高い山で標高約940mあまり、…

やっと完成

以前にも書いたが、パーティー用のきものの第1作がようやく 「半完成」した。華やいだ「藤花」が、三尺の振袖と一尺五寸 の短い袖がスペアー付き、という斬新なコンセプトである。長い袖は華やいだ雰囲気にピッタリだと「ジョン ガリアーノ」 も言ったとい…

良きパートナー

私には仕事の良きパートナーYさんがいる。 彼は独自で染めた反物や新しく織った白生地などを私に提示 してくれる、いわゆる素材屋さんである。 一般的な京友禅のやり方は白生地からスタートし、色を挿し たり刺繍を加えたりして一枚のきものや帯を作り上げる…

TPO

現代女性は洋服のTPOをみごとに理解し日本人らしい繊細な 着こなしを実践されていると私は見ている。 それは洋服の世界のことで「きもの」となると、そう上手く いってないように見える。 まずは何を着ればいいか悩む女性が多い。この理由は兎角 しきたりや…

相談を受ける

大学時代の友人から、姪がきものを買いたいと言っているが ○○会社はどうだろうと相談を受けた。 詳しく話を聞いてみると、20代の姪は100万円程の予算で きものと帯を探しているとのこと。 私は即座に止めたほうがいい、まず信用できる専門家に相談 すべきだ…

花一輪に想う

惜しむ春の名残りともいえる一輪の桜花、たった一輪だけが 枝に凛と咲き残る。今年の桜シーズンはウンザリするほど雨 が多かった、降らなかったのは1週間に1日だけという有様。 やはり最近の天候は何だかヘンだ。昔はこんなんじゃなか った!!(こういう言い…

恐るべしネットパワー!

当社がホームページに手を加え改良版をアップしていることを、 このサイトを以前からご覧いただいている方はお気付きだろう。 ネットの情報発信力にはただならぬパワーがあると睨んで投資 をしてきたが、リニューアルした途端、様々な反応が寄せられ ている…

桜記第2章

「世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」 古今和歌集に歌われた平安時代きってのプレーボーイ 「在原業平」の作である。今年の桜はこの歌の趣きより更に呆気なく終わろうとしている。 京都は4月に入り連日の雨模様、しかも一日中降り続く天…

気になる一本の桜樹

今年の桜はあっけなく満開になり、まだかまだかと待ち焦が れる暇もなかった。肌寒い日が続くと思っていたら急に20度 を超える初夏の陽気に私の身体も春の準備が出来ないまま 日課のジョギングに出かけてみると、一晩で歩道の桜が咲き 始めていた。 その中に…

お詫び

昨日までの東京展で初めてお会いするお客様を不愉快に させてしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいである。 事の発端はお手持ちのきものに合う帯を選んでほしいという 相談であった。 拝見すると当店で染めたものではないが、古典柄をイメージ させる訪問着で…

愛しのフィレンツェ

息子がイタリアから無事帰国して報告を受ける。一番驚いた のはフィレンツェの近況であった。この十数年で街の様子が すっかり変わってしまったという。 京都を連想させる歴史ある街並みと堂々と流れるアルノ川は 鴨川のイメージへと重なる。サンタマリア デ…

食器が面白くない

最近大流行の真白で大きめの食器には飽き飽きさせられる。 確かに何を盛ってもそれなりに合っているようだが、言葉を 返せばどれも合ってないということだ。 さらに穿った見方をして店側に立てば、欠けたり割れたり しがちな営業用食器を1枚づつ補充できると…

イタリアへ

当社の役員でもあり私の次男である息子がイタリアへ出張 する為10日間ほど留守にすることになった。 彼は若い頃フィレンツェに修復を学ぶ為に留学し、最終的 にはウフィツィ美術館で働いたキャリアがあり、言葉には 不自由はしないらしい。 出張の目的はイ…

御礼

先日ホームページにアップしたばかりのコーディネート品が、 あっと言う間にお買い上げとなった。トップバッターとして登場 した私は社員に面目躍如ができて鼻高々である。 お買い上げ頂いたO様に心より御礼申し上げます。 ※ご質問・お問い合わせはコチラを…

箔の魅力

西陣の片隅に埋もれていた紋紙を発掘し再興する話は以前 のブログに書いたが、ようやく最初の1柄が織り上がった。 「摺箔蜀甲錦紋袋帯」である。「引箔」(=摺箔)という織技法は中国では紀元前より、 我国では江戸時代中期頃から行われているいるものだが、 …

きものと帯を画面上でコーディネート

ホームページの中で「社長にも、きものと帯のコーディネート を提案してほしい」と社員から頼まれた。 スタッフ全員が交代でコーディネート提案をしようとの発案 で、トップバッターが私と決まったようだ。確かに普段一方的に作り出すだけで、コーディネート…

環境が物を作る

染織史の話をしてほしいと頼まれ来月1時間程度のスピーチ をすることになった。1時間で日本の染織史1200年を語るの は難しいので「千利休と辻が花」という演題で近世染織史 を話すこととした。 その過程で気が付いたのだが、利休の美学の根底は草庵茶 を大成…

進歩の予感

今年は私自身にとっても、ぎをん齋藤にとっても素晴らしい 年になりそうな予感がする。 まず私個人としてはすこぶる健康である事。これが何よりも 大切なこと、ヤル気も健康から始まると誰よりも実感して いるからだ。 次に仕事(=ほとんど趣味に近い)は昨年…

新春

新年の慶を寿ぎ、今年が皆様にとって素晴らしい一年となる よう祈念いたします。 また新しい一年が始まる。まず一番に健康で正月を迎えられ た事に感謝し、家族や会社の皆んなが元気な姿で新年の挨拶 を交わす幸せを噛みしめる。 今年最初のニュースはホーム…

ニューヨーク帰りの「辻が花」と「慶長裂」

最近手に入れた2枚の裂、紅白に染め分けられた生地に 花と思しきものと石畳のように白抜きにされた石目模様 の「辻が花」である。見事な「糸入れ」の技術で僅かな 隙間にきちっと地色の紅が入り込んでいる。 絞りの技術の低下は、職人の指先の力の低下が原因…

色を見直す

染織の世界で糸や生地を染めるのには化学染料を用いるのが 一般的である。草木など植物染料を使うこともあるが、狙っ た色を出すには化学染料が適している。 さらに価格的に草木染めでは桁が違う上に日光に弱く退色が 著しいので使い難い。染料の他には「顔…

師走展迫る

今年の師走展は例年通り銀座「かねまつ」ホールで12/5,6日の 両日開催する。 今回のテーマは社員からの提案で「色が変わる」とした。 確かに昨年あたりから「濃色」が時の色になると感じているが 何が私にそう思わせるのか? 一言で言うと「風」と文学的に…

温故知新の旅を終える

10月に繰り延べした秋の展示会を無事にしかも盛況に終える ことができた事に感謝する。 今回のテーマは「正倉院裂」と「更紗2」、私の時を遡る 「温故知新」の旅は桃山縫箔、中世裂、遼代裂、平家納経を 経てついに最終章を迎えた。 日本の染織は奇跡的に残…

続 草木染

実は若いころ草木で糸を染めていた経験がある、と言っても キッチンの鍋や蒸し器を使ってやっていた程度だが 結構楽しく学べた。 例えば「緑」を染めるには黄色(刈安)で染めた後「藍」を掛けて 蒸すと緑ができる仕組みである。基本色「赤、青、黄」の染料を …

草木染の真の実力を見せつけられる

先般紹介した京都国立博物館を再度訪ねる。 前回見落としたものがないか再確認するためである。何度見ても 正直なところ染織のコーナーは他と比べて見劣りがする。 400年以上前の絹衣裳は保存状態が余程完全でなければ 見るも無惨な塊となってしまうから展示…

性美説

人間は誰しも美しいものを求める生き物である、性善説に喩えて 性美説とでも言おうか。(笑) この性分が備わっているから 趣向品や美術品など非日用品が売れるのである。 「衣食足りて礼節を知る」という故事があるが 「礼節」を「美」と置き換えてもいいだろ…

美術品の見方

「優れた作品は細部に至るまで不自然さや破綻したところが無い」 とある人から教えられた。 なるほどそう云えば「お宝鑑定団」に出品される物も 画面にアップで写し出されると木の枝先が妙にひ弱だったり、 鳥の足が有り得ない方向に描かれたりと 偽物である…

祇園街がなんとなく元気が無い

生まれも育ちも祇園なので幼友達が経営する料理屋やお茶屋 など行く処には不自由しない。 祇園と称する地域に厳密な境界線が有る訳では無く、 しいて云えば昔、電電公社(現NTT)の支局が建仁寺の南側にあり 祇園局(6)の電話番号を使用していた。我が家も当初…

手放し難い一品

普段飾ったり手にしない骨董品が知らないうちに結構 溜まっている、いい加減手放してしまおうかと思うのだが、 やはり止めておこうと踏みとどまる。 その一つが「加彩夫人俑」である。 中国唐時代(8世紀)に副葬品として作られた陶俑で 墓から掘り出された物…

さすが京都市!

京都市が主催する染、織職人育成プログラムがある。 10月から3ヶ月間、毎日2時間程度の実習講義を受ける。 我が社の社員も営業に就く前に必ずこの研修を受けるのが 慣わしになっている。 お客様に商品説明をし納得して買って頂く、その商品が どのような工程…