環境が物を作る

染織史の話をしてほしいと頼まれ来月1時間程度のスピーチ
をすることになった。1時間で日本の染織史1200年を語るの
は難しいので「千利休と辻が花」という演題で近世染織史
を話すこととした。


その過程で気が付いたのだが、利休の美学の根底は草庵茶
を大成した事に始まる。
彼の考案した竹の一重切花入黒楽茶碗を見るにつけても
草庵茶であって初めて成立する茶道具だと気がつく。


楽茶碗(長次郎)   竹花入れ(銘 園城寺)  与次郎釜


見方を変えればそれ以前の書院茶では場違いである。
建物の環境空気によって供せられる道具の評価が大きく
変わってしまうのだ。


例えば有名な伊賀焼の水指「破袋」を現代風なコンクリー
トの茶室に据え、煌々と照明すれば重要文化財が単に形の
歪んだ古道具にしか見えないであろう。


場を包むシチュエーションが物作りの大きな要素になる
と云う私の従来の持論につながる。


道具を作るのは人の手だが人は時代の中で育まれる、
 ゆえに時代が物を作る


桃山時代に優れた工芸品が数多く作られたのは戦乱
原因なのか?
しかし元禄時代太平期にも同じく素晴らしい文芸、
工芸が作られた。時代と人の相関関係は複雑だ。




※ご質問・お問い合わせはコチラをクリック
For questions or inquires, please click here.

.
..
...