2013-08-01から1ヶ月間の記事一覧

鈴木 治展を観る。

京都国立近代美術館で開催中の「鈴木 治展」を観る。 同氏は陶芸の世界で八木一夫氏らと共にアートとしての陶器に 情熱を燃やした作家である。 初期の作品は例によって「織部」、「黄瀬戸」など桃山の焼き物を踏襲する。 しかし、 晩年の作は実用を離れ「観…

ラッフルズに逗留す。

東南アジアはいま一つ興味が湧かなかった、と言うのも 湿気が多そうだし虫やなんかに刺されそうで敬遠していたのが 本音である。 ただ名建築があり、 第二次世界大戦中は日本帝国陸軍の将校専用宿泊所として 使用されていたラッフルズホテルには一度は行って…

「大停滞の時代を超えて」 山崎正和著を読む

時に「目から鱗」といえる本に巡り合うことがある。 「大停滞の時代を超えて」 山崎正和著もその一冊である。 山崎氏は以前から演劇評論家としての高名を承知していたが、 演劇に止まらず時事巷説に通じ卓見の主であることが解る。 例えば『個人主義には二と…

建築家はエゴイスト

染物、織物を作る仕事をしていて消費者の意向を聞いて作るのは稀である。 特定の人からT.P.Oを踏まえ、しかも似合うものを作って欲しい! という依頼を受けた場合以外、自分の創意と古典を頼りに作る のが私のやり方である。 この点で建築家と違うのはクライ…

平家納経シリーズ、一つの完結

平家納経をヒントとして制作してきた一連の物作りも 今回完成した「伏線蝶に組紐縫い」訪問着によって 一応の完結を見た。 錆朱色に切り箔、野毛の金銀箔を置き、 組紐を模した刺繍と伏線蝶の丸紋を縫い取ったもの。 全て平安時代のエスプリともいえる素材で…