建築家はエゴイスト
染物、織物を作る仕事をしていて消費者の意向を聞いて作るのは稀である。
特定の人からT.P.Oを踏まえ、しかも似合うものを作って欲しい!
という依頼を受けた場合以外、自分の創意と古典を頼りに作る
のが私のやり方である。
この点で建築家と違うのはクライアントの依頼があって始めて
彼はデザインを創意する。
しかしクライアントの要望どおりの設計をするかといえば、有名な建築家ほど自分の作意を押し通す人が多いように感じる。
30年ほど前、齋藤織物の工房を建てた時も
外観はほぼ建築家の想いどおり、
内装は私と妻の意見が70%くらい取り入れることで妥協した。
しかし「きもの」でそんなに甘い妥協はしてもらえない。ほぼ90%は誂え主の色、柄を叶えてあげないと仕事にはならない。
随分前の話だが、
某建築家の設計による住宅が青天井の吹き抜けになっているので雨の日は傘をささないとトイレに行けないと聞いた。
しかもその作品が彼の出世作となり賞を受けたという。
もし「きもの」で夜になると透けて見えるものを作ったら
二度と注文は来ないであろう。
建築家はエゴイスト、染織家はサーバントでしかないのか、
いやエゴイストを通せるようになれば染織家も一流という事か。
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