「大停滞の時代を超えて」 山崎正和著を読む

時に「目から鱗」といえる本に巡り合うことがある。


大停滞の時代を超えて山崎正和著もその一冊である。

山崎氏は以前から演劇評論家としての高名を承知していたが、
演劇に止まらず時事巷説に通じ卓見の主であることが解る。


例えば『個人主義には二とおりある、「堅い個人主義」と「柔らかい個人主義」、自己を主張する堅い個人主義ではなく表現する柔らかい個人主義は日本人の得意とするとこだ。』など一括りにしていた個人主義を鮮やかに切り分ける


また「食欲にしろ性欲にしろ欲望の実体はささやかで過剰になると苦痛に逆転する。しかしマネーゲームの横行する昨今は自己の存在の大きさを確認する為に消費し貯蓄する、一緒に確認してくれる他者がいるわけではないので無限に膨れ上がる。」と世界の金融事情に苦言を呈する


伝統文化や藝術に関しても
「伝統は社会の集合意識や惰性的な共同体の習慣でもないのに今だに自国伝来の産物と錯覚される。
琴、三味線だけではなくピアノも既にじゅうぶん伝統音楽である。」示唆に富んだ至言に感銘を受けた



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