箔の魅力

西陣の片隅に埋もれていた紋紙を発掘し再興する話は以前
のブログに書いたが、ようやく最初の1柄が織り上がった。
摺箔蜀甲錦紋袋帯」である。

引箔」(=摺箔)という織技法は中国では紀元前より、
我国では江戸時代中期頃から行われているいるものだが、
これほど多種多様の箔を一本の帯に織り込むのは珍しい。


裏面を見ても色とりどりの箔がビッシリ密集しているのが
よく分かる。

箔は箔屋に特別注文して作らせるのだが、プレミアムな
センスを理解してくれる職人が不可欠だ。


模様の「蜀甲」と呼ばれる柄は中国の古代 蜀のものだが
明時代や日本の江戸時代にもよく作られた幾何学模様
代表格である。

織物を作る際に「」を主役にして織られるものと言えば
唐織」がある。太い絵緯(えぬき)でボリューム感を重視
して織る。


」を主役にして織られるものと言えば「金襴」だが、
多色の箔を織り込む事はしない。金、銀など単色が基本で
今品の如きは全く独創的な「made in 西陣」である。


今回の作品は、若い頃から敬愛する「徳田義三」の影響を
色濃く反映する作品で、安物が横行する昨今のきもの業界
一石を投ずるつもりである。



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