温故知新の旅を終える
10月に繰り延べした秋の展示会を無事にしかも盛況に終える
ことができた事に感謝する。
今回のテーマは「正倉院裂」と「更紗2」、私の時を遡る
「温故知新」の旅は桃山縫箔、中世裂、遼代裂、平家納経を
経てついに最終章を迎えた。
日本の染織は奇跡的に残った正倉院裂を除外すると14世紀以降
の歴史しか現存しない。タイムカプセルとも呼ばれる正倉院裂
を民間人たる私が入手できるなどと思いもつかなかったが、
それを実現できたのは私の強運としか言いようがない。
では何故旅が終点かと言えば、8世紀以前の物となると中国の裂
を探さざるを得ないのだが、入手が困難であるというよりも
彼らの美意識は私の趣味から外れている。
漢時代(紀元1世紀)の鎖縫い(刺繍の技法)を用いた絹裂を英国で
見掛けたが、さして魅力のあるものではなかった。
かくして私の染織史を遡る旅は終わりを告げるのだ。
では仕事もお終いかというとそうではない。今は色に夢中に
なっている。先日の初めて見たあの鮮やかで瑞々しい染色を
求めていきたいと思っている。
「齢66にして色に惑う」これも一興ではないか。
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