徳田義三の影を求めて

徳田義三の名は西陣の世界ではよく知られているが
一般的には無名かもしれない。


彼は昭和初期から40年台にかけて活躍した
プロデューサーである。
本業は帯の図案家としてスタートしたが
後年は織物指導に充たり、独自の世界を創り上げた
不世出のアーティストである。

彼の美の原点は私と同じ古美術に由来し
コレクターとしても名品を蒐めた目利きであった。


古い復刻するという作業は大きく分けて二つに分類される。
一つは制作された当初のものに復元するというものと、
もう一つは時代の中で風化した美しさを愛で、
見たままを写し取るという方法である。


徳田義三が目指したのは後者であり私自身も同じ立場である。
時代がかる」とも「侘びる」とも言うが
時間の風雪に耐えてきた生命力に共感する美意識である。


勿論そればかりが彼の作品ではではなく
彼がアレンジした古典やデフォルメしたモダニズムもある。


彼の影を今更ながら追い求めて
西陣織屋に足跡をたどる作業を行っているのは、
半世紀が過ぎても褪せることのない魅力が現在作られている帯には見当たらないからだ。


ただ全ての作品が秀作ばかりではないので
秀劣を見極める眼が必要であることは言うまでもない。


徳田の一時代前に活躍したのは
初代 龍村平蔵だがを単なる実用品から美術品まで昇華させた立役者の1人である。



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