平和の陰で

木枯らしが街路樹を朱く染めて始める。
鴨川縁から遠く比叡山を望むと早くも冬の気配を感じさせる。


晩秋の短い一日を
人々は思い思いの楽しみ方で満喫しているかのようだ。


病院の出入り口に通じる戸口には外出を許された患者たちが、
パジャマにガウンを羽織ってベンチに腰をおろし川面を眺める、
しかしなぜかその目は虚ろだ。


子供達は大声で走り回り、
若者たちはダンスの稽古に余念が無い。


ある者は楽器を奏で、
ある者は携帯プレーヤーで耳を塞ぎ足でリズムを刻む。


平和な一日がこうして過ぎて行く。


こんな毎日が続けばいい、何気ない一日が幸福だと感じる、
こんな穏やかな構図が崩れないよう願う。



一方、福島では放射線という見えない脅威から逃げるように
暮らし続ける人達がいることを忘れてはならない。


いつになれば幸せな暮らしを取り戻せるのか、
いや果たして戻る事ができるのか。


事故の記憶が徐々に風化していく中で、
日本の恥部として存続し続くのか世界が注視している。



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