正倉院展を観て納得する。
今回の私の目的は、
先日入手した正倉院裂の真贋を確かめる為である。
会場に入るとそれは第一番目の展示品であった。
「鳥毛帖成文書屏風」その額縁に使われているのが
手に入れた「宝相華紋錦」のはずである。
そもそも正倉院裂の大きな物が
市中に出回っていること自体に疑いを持っていたが
展示品を観た瞬間に私のは真物であると確信した。
生地の劣化の具合、時代の風雪をくぐり抜けてきた地色の退色など全くの同一品である。
ではなぜ私の入手した裂が市中に出る羽目になったのか?
これがナゾであるが、一つの手掛かりがある。
私の裂には「織傷」がある。
技術的に説明すれば地緯糸を織り込む際に模様を織り出す為の
絵緯糸が同じ織口に入ってしまったのである。
従って出てはならない黄色の糸が表に出てしまったのだ。
これは明らかに職人のミスである。
「こんな傷物を正倉院には納められない」と官立織工場で
スッタモンダの議論が巻き起こったのではないかと想像する。
その後どのような経緯で私の所へ来たのかは全くのミステリーである。
たった一枚の裂から1300年前の事件を空想する、そんな楽しみ方が骨董品にはあるのだ。
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