「等伯」安部龍太郎著を読んで
日本経済新聞に連載されていたものを単行本として発行され、
直木賞を受賞するという快挙をなした話題の作品である。
等伯は有名な「松林図」の作者として著名であると同時に
私の個人的関心の対象である。
「空気感」を描ける絵師として崇拝の対象でもある。
彼の作品は文中にあるように
「狩野派」に対するライバル心が如実に見て取れる画風が多い。
独断で申せば狩野永徳に比べるとやや線が細い。
「松林図」以外で「龍虎図」を除けば画から受ける印象は
文中の人物像に近いと感じる、栄誉を得るためには姑息な手段をも
敢えておこないそうな人物である。
しかし「松林図」のから受ける印象は「孤高の人」である。
この一致しない印象は何が原因か?
私は敢えて言えば「松林図」は等伯の作品ではないと。
元来が器用な才覚の持ち主で技術を使い分ける術を心得ていた
とも言えるが「松林図」の境地はまさに大悟の後の筆と観る。
著者に一度意見をぶつけてみたい思いである。
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