染の引き算、一つの帰結

いわゆる友禅染技法で難しいのは
輪郭を甘いぼかしに仕上げることである。



何でもないようだが友禅染の基本は
糊伏せ(染めたくない部分に糊を塗布する)である。
故に輪郭がどうしてもシャープになってしまう。

この技法を400年も後生大事に守り続けてきたのが
我々の業界である。


しかし私は以前から
花弁のふくよかさをシャープな線で表現するのは不向きで
もっと柔らかい表現にこだわって探求してきた。


今回制作した「」の完成で一つの帰結をみたと思っている。


以前、敬愛する杉本博司氏から
大きな藤の幕を作りたいという話があったが、
その時は、はっきり言って自信がなかった。


大きな藤の花弁は普通に染めれば
つまらないものになることは分かっていたが、
どんな方法でやればいいのか思いつかなかった。


あれから3年、今回の出来栄えは満足の行くものである。


ただ、この「きもの」が似合う女性を探すのはもっと
難しいかもしれない。。。



※ご意見・ご質問はコチラをクリック
For questions or inquires, please click here.