「からむし」 - 店主のこだわり

「からむし」(苧麻)を緯糸に織り込んだ織地に
格子の型染めを施した袋帯を制作してみた。

麻独特の野趣な生地感にぼかし足の長い型染めは、
織物でもなく染物でもない微妙な仕上がりに満足している。
　　

そもそも染物と織物は、
完全に違った地域、人、技術で作られてきた。

一体であるべきはずの染織は歴史的な経過の中で、
全く別分野としで制作されてきた。

平安時代、
絹が金と同等の価値を有し染織技法が門外不出の秘事として
国からの統制に服してきた所為だろうか？

爾来、
染めの技術者は織物の製造には全く不案内で、
織の職人は染めの世界は無知である。

齋藤織物を立ち上げた25年前、
私が目指していたのは両者の融合、

私しかできない物作りであった。

それがようやく一つの結果として身を結んだ。

織り上がった後に染めを施すことを前提にして生地を織る、

物作りの醍醐味、真骨頂ともいうべき手法である。

今後、
色を自由に変化させていけば
更に奥行きのある帯になると確信している。