三十三間堂と宗達
京都国立博物館への帰り道、真向かいの
三十三間堂に立ち寄った。
子供の頃に一度行ったことは記憶しているが、その時の印象は
煤けた仏像がやたら並んでいる横長いお堂としか残っていない。
今度訪れた理由は時間の余裕があったのが一つと先般、
杉本博司氏の宗教をテーマにした展覧会を観て三十三間堂が
「仏の海」として紹介されていたのを思い出したからである。
仏達の後背が
「青海波」に見えるところから名付けられた作品だと想像する。
今回、堂内に入った途端、はっとしたのは左の端に安置された
「雷神」の木彫が目に入った瞬間であった。
国宝に指定されたこの木彫は、
鎌倉時代の作で創建当時から安置されているとのこと。
もちろん右端には「風神」さま。
それで頭に浮かんだのは東向かいの「養源院」、
この寺は「淀君」所縁の名刹、俵屋宗達が描いた杉戸絵が
重要文化財で有名なお寺である。
あ! そうか!、私の空想は膨らんだ。
あの有名な「風神、雷神屏風」は、この木彫から宗達は
ヒントを得たのだと。
養源院の杉戸絵を描いている合間にきっと、
三十三間堂でデッサンしたに違いないと。
屏風の注文主は「建仁寺」、ここも目と鼻の先にある禅寺。
ごく狭いエリアで歴史という長い時間を超えて、
人と物が結びつく。。。京都とはそんな街である。
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