「杉本文楽」鑑賞記

今年3月に上演予定であった「曽根崎心中」がようやく
開演された。

天満屋の段」で使われる暖簾を初めて舞台で見ることができ、正直ほっとしている


この演目の最後の心中場面はサラッと表現されることが一般的であるが杉本氏はこの場面こそエロスの極みであるとの持論
以前から持っておられた。
執拗なまでのラストシーンはまさに男女の情念がむき出しになる感動的な場面として仕立てあげられていた。
命尽きた二人の姿はまさに涙を誘う劇的な姿態。
これをなし得たのは吉田簑助桐竹勘十郎両氏の至芸によるのであろう。
観音廻り」の段では鎌倉仏と思われる古い観音様を登場させるなど、いかにも杉本流を披露された。


一方、私の制作した「梅図暖簾」の出来栄えはいささか不満
残るものであった。
地色は緋色、梅は浅葱色、この二色こそ遊郭象徴する色
である。


構図は二本の太い幹が重なり男女の絡み合う情念を表現したかったが梅の花がそれにしては清楚すぎた様に見えた。


梅の持つ気品の高さが出てしまった。





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