狂言衣裳
敬愛する杉本博司氏より新たな依頼を受けた。
狂言、三番叟の衣裳を染めてほしいとのことである。
杉本氏がデザインし私が染め、仕立て上げるのだが
9月21日に着用という日限付きである。
本来、狂言の衣裳生地は大麻が主流であったが、
麻薬として悪用される恐れがあるので現在では農家以外の栽培は禁止されている。
しかも需要が極端に限られているので絶滅寸前の状態である。
素材として植物繊維は魅力的な物が多い。
越後上布、宮古上布、ピーニア、藤布、葛布など
野趣に富んだ物ばかりだが稀少品で値段が高い。
中でも「藕絲」(ぐうし)と呼ばれる「蓮」から取った糸は日本で最古の刺繍である「天寿国繍帳」の生地に使用されている。
以前私も 藕絲 制作を試みたがうまく行かなかった。
(きもの博物館より)
今回も時間の余裕があれば上質な大麻を織って染めてみたいが、仕方なく絹で代用するつもりだ。
能が「唐織」という絢爛豪華な絹織物を用いるに対し
狂言は「麻」の野趣味を対比させるのは、
日本人の繊細な使い分けの真骨頂なのか。
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