不思議な展覧会
先日、なにげなく覗いた小さな画廊、
いっけん時代がかった掛軸が十数本展示されている。
水彩画やポップアートなどを展示している催事は良く見かけるが古美術商の展観でもなさそうだし、興味を惹かれて中へ足を踏み入れた。
なんと、
「本阿弥光悦」の書を軸装したものが三点ばかり、
「仙涯」の仏画など、作者を解説するキャプションが付けられて飾られているのである。
しかし一目で贋物だと分かる。
不思議に思い会主(60過ぎの男性)と思しき人物に、ことの次第を尋ねてみると、ご本人は表具師だという。
時代裂に魅せられて蒐集した表具裂を使いたいために
本紙を買い集めたとの事であった。
本来は本紙に釣り合った裂で表具するのが順序で、
人で例えると「きもの」に合った女性を見つけるのと同じで
真逆ではないか。
ご本人に値段を尋ねるのは一瞬気が引けたので止めにしたが、
一体どういうつもりで贋物を表具して展示しているのか???
「シャレ」であれば面白いが「マジ」なら恥ずかしい。
今でも不思議な気持ちが頭から離れない。
創作品にしろ文章にしろ自我を露出するのはとても難しい事だと痛感する。
自分の裸体を観せるのと同じで、
いくら自信があっても恥ずかしいことに違いない。
今回の教訓を「他山の石」とせぬようにしたいものだ。
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