「鳥襷宝尽し緞子」 仕覆 の復元
広島を中心に活躍される茶道、上田流の依頼を受けて
同家伝来の仕覆(茶入の袋)を復元する機会を得た。
「鳥襷宝尽し緞子」とは
中国、明時代に織られた緞子(正式な織名称は4枚綾織)。
茶道で使われる名称と織物の正式な名称とは
違ったものが多く、混同していることも多々散見できるが
今更名称を変えるのも困難な事であろう。
今回の復元で本歌の破壊をも許可されていたので
徹底的な分析が可能であったのが幸運であった。
一般に復元といっても目視に頼ることが多く
推測の域をでないことが多い。
特に染料の特定となれば、
ほとんど「勘」に頼っているのが実情である。
しかし今回は
染料分析を京都工芸繊維大学に依頼し、分析結果を参考に
染料を特定し、織組織は顕微鏡で細部の情報を得たもので
自信ある出来栄えであった。
明時代に成織されたいわゆる「名物裂」類は非常に精緻な物が多く復元するにも精度の高い織機が必要とされる。
自分の興味を仕事に生かせる幸せは冥利に尽きると感じている。
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