墨絵の魅力

自然が創るものには醜い物はない。

しかし人が作る物は美醜があり「」にもレベルがある。

それは創る人間、そのものが作品に反映されるかだ
だだし美醜感受する人の問題であって絶対的なものではないのは当然だ。
確かに美のレベルは現存すると思う。
その高い美意識の一つが墨絵水墨の世界。
墨の濃淡、筆の強弱で森羅万象を実存以上に精神性を高めて描く技術はまさに至芸といえる。
日本人では雪舟が第一人者であるに違いがないが、わたしは中国南宋の画家達のものがすきである。



馬遠」「牧谿」「梁楷



彼等の描く水墨画の世界はバッハの宗教音楽を想起させる。
純粋で精緻にして高い精神性を見事に表現してみせる
それを可能にしたのは、作家としての素晴らしい技能と精神力に由来するが、同時に南宋という時代の産物と言える。


以前にも述べた通り時代が人を生み人が作品を生み出すのである。
最近、京都国立博物館で観た「筆墨精神」展も墨の魅力が遺憾なく発揮された名品に出会えた展覧会であった。
翻って、この末世ともいえる現代において水墨の深い美染織で表現するにはどうしたらいいか?
はるか彼方にそびえる名峰を裾野から眺めるような敬虔な気持と自分の非力を痛感する







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