糸の話



今、日本の生糸に大きな問題が起こっている。


事の起こりは国内の養蚕を保護する為に行われてきた助成金の撤廃である。
絹糸の本家本元は中国であるが明治時代以来、日本の輸出品のトップは常に絹糸であった。
国内の旺盛な絹糸需要に支えられて国内のいたるところで
養蚕が盛んに行われシルクロードを遡行してヨーロッパにまで
送られていた。


しかし近年、
安い労働力を活かした中国糸に人件費の高い国内糸は衰退の一途をたどり続けている。
年間、数億円ほどの助成金で日本の養蚕家を援助してきたが
政府上の問題から平成23年で打ち切られてしまうらしい。


政府は養蚕を見限ったと思われてもしかたがない。


そこで日本の生糸にこだわりを持つ人達は中国やブラジル産とは区別すべく新しい商標「日本の絹」のもと品質の良さをアピールし始めている。


しかし私は少し違った考えをもっている。
品質さえ良ければどこの産でもいいのではないか、
国産にこだわる必要はないのではないかと。

日本の伝統技術を保存、継承することはもちろん大切なことだが世界経済という大きな波動の前で我々は何ができるだろうか。


わたしはブラジル産の糸を使用した白生地を
伯布」と命名して使っている。
6A」という最高品質の糸で以前はフランスの某ブランドが買い占めていたが今は一部が日本の白生地として使えるようになった。
糸の艶が確かに良い


生糸の話のみならず
日本の伝統文化が音を立てて崩壊している



この現状をどこかでくい止めなければならないことは確かだ。




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