春爛漫
桜は日本人にとっても私にとっても特別な花である。
骨髄移植を受けて以来、指折り数えてきた春も今年で9年目、
退院した4月を昨日のように思い出す。
抜けるような青空に薄ピンクのコンビネーションは絶妙であり、
理屈抜きに幸せな気持ちにさせてくれる。
工房のしだれ桜も30年を迎える、
か細い若木であった幹も今や節くれだった老樹だ。
しかし、桜の美しさも散るから成立する。
もし一年中この花が咲いていたら
感激は薄れ、やがて拒否反応を感じるであろう。
散るから花は美しい。
人も同じく死ぬから生きている間が美しいのだ。
桜のように艶やかに咲く木もあれば雪間草のように
ひっそりと咲く花もある。
花には翌年があるが人は一回限り、
大輪を咲かせる人生もあるが、咲く前に散ることもある。
若くして亡くなるのは口惜しいが「萬世如意」ということか。
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